遺産相続・事業承継の諸手続き

 親から遺産をもらうとき、相続税のことが気になりませんか。あるいは配偶者を
くしたとき、残された者にとって「遺産を誰にどのように分割するのか」が気に
るのではないでしょうか。実際、一般的な家庭で家族同士が争う、いわゆる「争
(争う家族)」の問題が起きています。家庭裁判所の「遺産分割事件」のうち認
・調停成立件数を見ると、遺産5,000万円以下が全体の7割を占めています。相
税を払う必要がなくとも、「相続」は必ず起きます。円満な相続のために、少し
めにできることから一緒に考えてみませんか。

<TRM行政書士事務所が対応させていただく支援の概要>
・相続開始以前は、生前対策及び遺言書の作成についてのご相談に対応させていただきます。
・相続開始後は、相続人の確定、相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、財産承継の事務に
 ついてのご相談に対応させていただきます。
・生前の税務対策、相続開始後の申告・納税手続きは、専門の税理士がご相談に対応させてい
 ただきます。
・生前の不動産贈与等に係るの登記手続き、相続開始後の不動産相続の権利登記手続きは、専
 門の司法士がご相談に対応させていただきます。

 遺産相続・事業承継という課題は、相続税申告、相続登記、遺言書作成、不動産活用、不動
産管理会社の設立・運営、生命保険等様々な領域の専門家にあたりその協力を得て、適切に取
り組むことが求められます。
 「相続マイスターAdvanced(相続マイスター協会)」として、資産税の専門家である「ラ
ンドマーク税理士法人グループ」と提携して、遺産相続・承継について、さまざまなご依頼や
ご相談に適切に対応させていただきます。

 

平成27年1月から相続税が改正されました

  • 平成27年1月1日から相続税の基礎控除が4割削減され、税率が一部引き上げられました。

     基礎控除額(改正前)5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
           (改正後)3,000万円+ 600万円×法定相続人の数

     改正前であれば、遺産総額6,000万円の場合には相続税を納める必要はありませんでした。
     今回の改正により、これまでであれば相続税を納める必要がなかった方でも、相続税の申告や納
    付の手続きが必要になる可能性が出てきました。
  • 参考:改正後の相続税の概算額試算表
     表中の概算額は、法定相続分どおりに財産を取得し、配偶者の税額軽減(※)を最大限に利用した試算例
    (※)配偶者の相続税はその相続財産が法定相続分以下又はこれを超えても1億6千万円までは無税。
                                              単位:千円
    法定相続人 配偶者 がいる 場合 配偶者 いない 場合
    遺産総額 子1人 子2人 子3人 子1人 子2人 子3人
    3千万円 0 0 0 0 0 0
    5千万円 400 100 1,600 800 200
    8千万円 2,350 1,750 1,375 6,800 4,700 3,300
    1億円 3,850 3,150 2,625 12,200 7,700 6,300
    3億円 34,600 28,600 25,400 91,800 69,200 54,600
    6億円 98,550 86,800 78,375 240,000 197,100 169,800

 身近な人が亡くなったとき、何から手を付ければよいのでしょうか。その時にな
って慌てることがないように相続の流れと手続きについて確認してみましょう。


☆遺産相続に係る生前対策について↓



相続の流れ、手続きについて

  •  相続人が亡くなったところから相続が発生します。死亡してから10ヶ月以内に相続税の
    申告と納付を済ませなけれなばりません。スケジュールの概略は以下のとおりです。
  • 被相続人の死亡(相続の開始)
    お通夜・葬儀

    死亡届の提出(7日以内)
    ⇒ 死亡届を市区町村に届け出ます。通常、亡くなったことが金融機関に知れると
     亡くなった方名義の預貯金は凍結され、相続人全員の同意と所定の手続きを経な
     いとお金が引き出せなくなります。(この点、死亡保険金は受取人固有の財産な
     ので凍結されません。)
    初七日法要
    遺言書の有無を確認する。
    ⇒ 遺言書が保管されていそうな場所を調べます。
      遺言書は一定の方式で行われないと不成立又は無効とされる法律行為であるた
     め、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、家庭裁判所の検認(一種の証拠保全手
     続き)が必要です。公正証書遺言は、公証人に作成してもらった時点で、公文書
     扱いとなるため、検認の必要はありません。
      遺言書を実現するには様々な手続きが必要なため、遺言ではそれを執行するた
     め遺言執行者を指定することができます。
     (※)遺言執行者の役割とは
       遺言執行者は遺言の内容を実現する ために特に選任された相続人の代理人
      であり、原則として相続財産の管理その他遺言執行に必要な一切の行為をする
      権利義務を有します。業務の概要は、(1)「財産目録」の作成(登記簿・権利
      書等)、(2)相続割合の指定、遺産の分配、(3)移転登記・債権譲渡、(4)相続
      人への財産引渡し、等。
    四十九日法要
    戸籍で相続人を調べる。遺産や借金の概要を調べる。
    ⇒ 被相続人が出生から死亡するまでのすべての戸籍類を取り寄せ、調べて、誰が
     相続人になるのかを確認します。(相続人確定:相続関係説明図)
      被相続人が遺した財産がどれくらいあるのかを確認します。同時にマイナスの
     財産=借金についても調べます。
      被相続人が遺した相続財産の概要を正確に把握するために「財産目録」を作成
     します。これは遺産分割協議をするための判断材料となります。
     (相続財産調査:不動産の登記事項証明書、各種地図・図面、固定資産評価証明
     書、各金融機関の残高証明書 等)(これらはできるだけ早いほうが良い。)
    3か月以内
    単純相続するか、相続を破棄するか、又は限定承認する。
    ⇒ 相続人は、相続開始から被相続人に属した財産上の一切の権利・義務を承継し
     ます(単純相続)。
      一方、財産調査の結果、多額の債務が遺されていた場合など、3ヶ月の考慮期
     間内に財産目録を作成してこれを家庭裁判所へ提出して限定承認(相続によって
     得た財産の限度で被相続人の債務及び遺贈の義務を負担するとする意思表示)す
     ることができます。ただし限定承認は相続人全員でのみできることになっていま
     す。
     また、相続人が相続の権利を破棄(はじめから相続人にならなかったこととす
     る意思表示)しようとする場合、相続の開始があったことを知った時から3か月
     以内に、家庭裁判所に申述書を提出してすることができます。
    4ヶ月以内
    被相続人にかかる所得税の申告・納付(準確定申告)
    ⇒ 被相続人が死亡した日までの所得税の申告・納付をします。亡くなった方が確
     定申告の必要のない人はこの手続きは不要です。

    遺産分割協議書の作成
    ⇒ 所得税の申告・納付手続きと並行して、相続財産の評価を行います。基本的に
     相続時の時価で評価します。特に不動産や株式については、評価方法が難しいた
     め相続に精通した専門家(例:税理士等)に依頼することが望ましいです。
      相続財産について何がどれくらいあるのか、全ての評価額が決まったら、相続
     人全員で誰が何を相続するのかを話し合い、全員で合意した内容をまとめて確
     定するために「遺産分割協議書」を作成します。
      遺産分割の方法は、遺言による分割、協議による分割、又は家庭裁判所により
     ます。
      なお、遺産分割は、現物分割(特定の財産を特定の相続人が相続)だけでなく
     換価分割(遺産売却による現金分割)、代償分割(ある相続人が不動産全部を相
     続し、他の相続人に不足分を現金で支払う)等が可能です。
     (遺産分割方法の説明・確認)
    10ヶ月以内
    相続税の申告・納付
    ⇒ 相続税の申告書の提出と納付は同時です。相続税の納付は、相続発生日の翌日
     から10ヶ月以内に現金一括が原則です。
      現金以外の財産を売却しないと納税資金が賄えない場合、売却予定の財産につ
     いては先に分割協議を終えて、速やかに売却の手続き進める必要があります。
      特に土地等の売却は時間を要することが予測されるためため、早めに準備する
     必要があります。
      それが難しい場合、延納、物納といった方法を検討する必要がありますが、こ
     れらは所定の要件を満たしたうえで、申告書の提出日までに申請書を提出して行
     います。
     (事前の準備なしには難しい。)

    遺産整理と名義変更
    ⇒ 遺産分割が終わっても、実際に名義を変更するまでは相続に手続きは完了しま
     せん。誰が何を相続するのかが決まったら、速やかに被相続人名義の財産を、相
     続人の名義に変更する必要があります。
     (財産承継の支援:預金の解約払戻・名義変更手続、相続株式の移管手続、生命
     保険金請求手続、自動車の移転登録手続 等)
      特に、不動産の名義変更が重要です。不動産の権利登記は専門家。
     (例:司法書士)に依頼することが望ましい。

 まずは自分の財産の相続税を試算してみよう。

相続税の仕組みについて

  •  相続税は、人が死亡した場合に、当該死亡した人の財産等を相続したり、遺言で財産を
    贈与されたとき、死因贈与(死亡を条件とする贈与契約)されたときにかかります。しか
    し、死亡を原因として発生した財産については、元々あった財産ではないので、一定の額
    については相続税がかかりません。逆に相続開始直前に財産を譲り渡したなど、相続財産
    ではないものの公平の観点から、相続財産に含めるべきものがあります。相続開始前3年
    以内に行った贈与については、その贈与時の価額を相続財産に加えなければなりません。
    (尚、3年以内に納付した贈与税は、算出された相続税額から差し引くことができます)
  •  相続財産のうちどのようなものに相続税がかかり、どのようなものにかからないのか具
    体的に見てみます。
  • 区分
    財産の種類
    本来の相続財産
    (課税)
    土地、家屋、事業用財産、有価証券、現金、預貯金、家庭用
    財産、宝石、貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もるこ
    とができる経済的価値のあるもの。
    みなし相続財産他
    (課税)
    生命保険金、退職手当金、個人年金など。
    相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産。
    相続税のかからない
    相続財産(非課税)
    及び債務控除
    墓地や墓石、仏壇、仏具など。
    生命保険金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額。
    退職手当金等のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額
    公益を目的とする事業に使われることが確実なもの。
    心身障害受給金、寄付金など。
    債務控除として借入金、未払い医療費など。
    相続税の課税価格を計算します
    相続財産評価額+みなし相続財産ー非課税財産及び債務控除(※1)
    =課税価格

    (※1)相続時精算課税制度適用分があるときにはこれを加算します。
      生前に贈与が行われた場合、贈与税の課税の制度には「暦年課税(毎年110万円までは
     申告不要・贈与税がかからない)」と「相続時精算課税(60歳以上の親から20歳以上の
     子や孫への贈与なら通算で2500万円まで贈与税がかからない制度)」の2種類がありま
     す。
      相続時精算課税の制度は、贈与者が死亡したときに、遺産にこの制度で受けた贈与の
     金額を加えた合計額で相続税を計算することになる特殊な贈与の制度です。
    各相続人の実際の納税額を計算します
    課税価格-基礎控除額(※2)=課税遺産総額

    (※2)3,000万円+600万円×法定相続人の数
      課税遺産総額がマイナス(課税価格<基礎控除額)の場合、相続税は課税されません

    課税遺産総額 ⇒ 各法定相続人が法定相続分を取得時の税額を計算
    (※3)⇒ 計算した各法定相続人の相続税額を合計(相続税の総額)

    (※3)小規模宅地等の特例について(平成27年4月1日現在法令等)
      個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被
     相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅
     地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(「小規模宅地等」といいま
     す。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額し
     ます。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。
      例えば、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、特定居住用宅地等の要件を
     満たす場合、330平米を限度面積として、80%の減額割合が適用されます。また、被相
     続人等の事業の用に供されていた宅地等で、特定事業用宅地等の要件を満たす場合
     400平米を限度面積として、80%の減額割合が適用されるます。
      詳細は国税庁HP等参照。

    <法定相続分に応じた取得額と相続税率、控除額の一覧(速算)表>
    法定相続分に応じた取得価額 税率 控除額 法定相続分に応じた取得価額 税率 控除額
    1千万円以下 10% 0万円 2億円以下 40% 1,700万円
    3,000万円以下 15% 50万円 3億円以下 45% 2,700万円
    5,000万円以下 20% 200万円 6億円以下 50% 4,200万円
    1億円以下 30% 700万円 6億円超 55% 7,200万円
    各相続人の実際の納税額を計算します
    相続税の総額 ⇒ 実際の相続割合で各相続人に総額を配分計算(※
    4)⇒ 各相続人の相続税納付額を確定
    (※4)配偶者の税額の軽減について(平成27年4月1日現在法令等)
      配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した
     正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないとい う制度です。この制度の対象となる財産には、仮装又は隠蔽されていた財産は含まれま せん。
     (1) 1億6千万円
     (2) 配偶者の法定相続分相当額
      この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算さ
     れることになっています。従って、相続税の申告期限までに分割されていない財産は、
     原則として税額軽減の対象になりません。
      なお、障害者、未成年者に対しては、障害者控除(85歳に達するまでの年数に10万円
     (特別障害者は20万円)を乗じた額)、未成年者控除(20歳に達するまでの年数に10万
     円を乗じた額)が、それぞれ相続額から控除されます。
      詳細は国税庁HP等参照。
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